2016年 06月 11日
つゆのひぬま
高校3年の春だったと思う。数学教師の部屋へ遊びに行った。そこで目にした、書棚の中に山本周五郎の本が何冊かあった。
そして「城中の霜」と云う本をもらった。武家社会の生き様や恋物語が当時の私には新鮮だった。それがきっかけで周五郎の作品を読むことになった。
本日、紹介する「つゆのひぬま」だが梅雨の中でも陽がさす、わずかな時間「梅雨の陽ぬ間」だと長く思っていた。
ところが先日調べたところ、そうではなかった。朝露も干かないほど短い時間、ほんのひとときの意、「露の干ぬ間」・・・だった。なるほど。
普段使いの言葉ではないが、日本語の表現としては「趣」のある言葉だ。人生や出会いも振り返れば「つゆのひぬま」と言える。ほんのひとときだ。
40年ぶりに読み返してみる。
本棚の奥から引っ張り出した